FX歴12年、システムトレーダーのRYOです。
自作のゴールドEA「Arsene」は、ゴールドの上昇相場に「買いだけ」で乗るロング専用機でした。強い反面、弱点もはっきりしている——ゴールドが長く下げる/レンジで揉み合う”苦手相場”では、どうしても削られる。そこに設計で答えようとしているのが、改良版の「Noir(ノワール)」です。
今日はその Noir の開発中の成績を、少しだけお見せします。先に強く断っておきます。Noir はまだ検証継続中・暫定の段階で、確定版ではありません。フィルターの改良は今も途中です。なので「全部の数字」は出しません。今わかっている範囲を、盛らずに、ドローダウンとセットでチラ見せします。
⚠️ 本記事の数値はすべて過去データでの暫定検証であり、将来の成果を保証しません。Noirは開発中で、確定した成績ではありません。FX・自動売買には元本割れのリスクがあります。
Noirの考え方:「苦手相場では、戦わない」
Arseneの弱点は「苦手相場でも回り続けて削られる」こと。Noirの発想はその逆で、得意な相場(上昇)でしっかり攻め、苦手な相場では”戦わずに損失を抑える”。そのために、相場の状態を見て売買を絞り込む「フィルター」を持たせています。フィルターはON/OFFを切り替えられて、
- 上昇相場:フィルターを外して、攻める
- 苦手相場(下げ・レンジ):フィルターをONにして、損失を抑えて耐える
という使い分けを想定しています。
※ フィルターが内部で「何を」見て苦手相場と判定しているか——そのしきい値や係数といった具体的なレシピは、商品の核心なので書きません。ここで語るのは「思想(どう考えて作っているか)」までです。
まず:この10年が、ゴールドにとってどれだけ”冬の時代”だったか
Noirの数字を見てもらう前に、この検証期間(2010年1月〜2019年12月)がどんな相場だったかを共有させてください。ここを知らずに数字だけ見ても、意味が半分も伝わらないからです。
結論から言うと、この約10年は、ゴールドの買い手が長く報われなかった”冬の時代”でした。
- 2011年9月、ゴールドは当時の史上最高値 約1,920ドルをつけます。 リーマンショック後の金融不安、世界的な金融緩和(お金のバラまき)、米国の債務上限問題、欧州債務危機——「現金が信用できない」という空気のなかで、安全資産の金が買われ続けた”天井”でした。
- そこからが長い下げでした。 2013年、米国の中央銀行(FRB)が金融緩和の縮小(テーパリング)を匂わせると相場は急落。金は利息を生まないので、金利が上がる・ドルが強くなる局面では真っ先に売られます。
- 2015年12月、FRBが約9年半ぶりに利上げ。 ドル高・実質金利の上昇・インフレ低迷が重なり、ゴールドは約1,050ドルまで下落。天井からおよそ45%下げた計算です。
- 2016〜2019年前半は、おおむね1,050〜1,350ドルのレンジ。 上にも下にも決め切れず、方向感のないまま長く揉み合いました(本格的に上抜けるのは2019年の後半)。
つまりこの期間のゴールドは、「天井 → 4年超の下落 → さらに数年の方向感なし」という、買い手にとって一番つらい流れだったわけです。
ここで思い出してほしいのが、ArseneもNoirも「買いだけ」のロング専用EAだということ。下げ続ける相場・方向感のない相場で”買い続ける”のは、ほとんど自傷行為に近い。ふつうのロング専用EAなら、この時期にじわじわ削られて終わります。
だからこそ、この”冬の時代”を含む10年で検証することに意味があります。都合のいい上昇相場だけを切り取れば、どんなEAでも綺麗な右肩上がりのグラフは作れる。でもそれは嘘です。一番苦しい時期に、どれだけ沈まずに耐えられるか——そこを見て初めて、EAの本当の実力が分かります。
この前提を持ったうえで、次のフィルターON/OFFの数字を見てください。
チラ見せ①:フィルターON/OFFで、ドローダウンはどう変わるか
いちばん見てほしいのはここです。ゴールドが長く苦しんだ時期を含む期間で、固定ロット(賭け金を増やさない素の実力)で回したときの、フィルターOFFとONの比較です(暫定)。
| 設定 | 最大ドローダウン(暫定) |
|---|---|
| フィルター OFF(攻めっぱなし) | 約 36% |
| フィルター ON(守りの設定) | 約 18% |
▼ 実際のバックテストレポート(同じ期間・同じ固定ロットで、フィルターだけ切り替え)


ドローダウンが、およそ半分になりました。損失額で見ても、フィルターONがOFFの3分の1以下に収まった局面があります(暫定)。
ここがNoirの狙いです。「勝てるEA」ではなく「勝てない時を知っているEA」——苦手相場で深く沈まないことが、長く生き残るうえでいちばん効く。派手な勝ち額より、まずこの”沈みにくさ”を作りにいっています。
チラ見せ②:複利の”億”の裏側(ここは煽りません)
「じゃあフィルターを外して上昇相場に複利で全力で乗ったら?」——過去検証では、純益が”億“に届く場面もあります。数字だけ見れば派手です。
でも、正直に書きます。その裏には、相対ドローダウン80〜96%という札が必ず貼り付いています。 資産が一時的に8〜9割溶けたように見える瞬間を通過して、たまたま生き延びた結果が”億”です。これは「すごいEA」ではなく「運が悪ければ普通に破綻する設定」です。
だからNoirの運用想定は、その派手なところを取りに行きません。複利は使っても、相対ドローダウンが現実的に耐えられる水準に抑える。地味でも長く続くほうを選ぶ設計にしています。数字は出しますが、必ずドローダウンとセットで——これは最後まで変えません。
正直な限界も、先に書いておく
良いことばかり書く気はないので、現時点で分かっている限界も置いておきます。
- 苦手相場を”黒字”にはできていません。 Noirにできるのは、フィルターで損失を浅く抑えるところまで。「どんな相場でも勝つ」EAではありません。
- ゴールドが長期で下げ続けた一部の時期は、フィルターONでもマイナスで耐えるのが精一杯です。そこを「勝てる」と言うつもりはありません。
- フィルターONは、得意な上昇相場では攻めの成績が少し落ちます。守りと攻めはトレードオフで、ここはタダではありません。
「全部の相場で勝てる魔法のロジックなんて存在しない」——これは12年やってきた僕の結論で、Noirも例外ではありません。できるのは、苦手な時間帯の沈み方を、設計で浅くすること。それを正直に積み上げています。
これから
このページで見せたのは、あくまで開発中・暫定のチラ見せです。全期間の詳細データ、フィルターの効き方の細かい検証、そして「実際に自分の金で回したらどうなるか」の実弾記録は、検証が固まり次第、順番に出していきます。
Noirをどう世に出すか(配布の形)も、まだ決めていません。 まずは検証を固め、実弾の記録を貯める。順番を守ります。「口座を開けば渡します」のような案内も、今日の段階ではしません。
続報は、このサイトの記事更新とXでの報告で。勝っても負けても、暫定は暫定と書いて、盛らずに出します。それが12年やってきた自分のやり方です。
注記(必ずお読みください)
- 本記事の数値は過去データでの暫定検証であり、確定した運用成績ではありません。将来の成果を保証するものではなく、同じ設定でも開始時期・相場・口座環境・約定状況により結果は異なります。
- Noirは検証継続中・暫定の段階のEAです。フィルターは改良途中で、確定版ではありません。
- FX・自動売買(EA)取引には元本割れ(損失)の可能性があります。複利・攻めた設定では、相対ドローダウンが極めて大きくなる場面があり、最悪の場合は口座資金を大きく毀損します。投資は自己責任・余裕資金の範囲で行ってください。
- 本記事は特定のEA・設定の売買や利用を推奨・助言するものではなく、投資助言ではありません。検証記録の共有を目的としています。「絶対」「必ず増える」といった保証は一切ありません。
- ArseneおよびNoirの戦略はRYO自身が12年の経験から構築したもので、実装にAIを活用していますが、AIが戦略を作ったものではありません。フィルターの具体的なしきい値・係数(レシピ)は非公開です。


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